第8回:カノンを書き換える ―― 結希さんへの鎮魂歌

【真実の解剖シリーズ:全8回・完結】

情報の霧と、親子の境界線
最終回:カノンを書き換える ―― 結希さんへの鎮魂歌

パッヘルベルの『カノン』。同じ旋律が繰り返され、重なり合い、やがて壮大な調和を生むその曲は、家族という絆の象徴のように語られる。だが、もしその連鎖が「罪」や「依存」であったなら、私たちはその旋律を自らの手で断ち切らなければならない。

1. 境界線の向こう側に残されたもの

11歳という若さで、未来を奪われた結希さん。彼が最期に見た景色が、境界線を失った「狂気」であったとしたら、これほど悲しいことはない。メディアは数字のために彼を「悲劇の主人公」に仕立て、Googleは関連キーワードとして彼を処理する。しかし、私はそうはしない。

精神医学の知見を用い、12時の通報の嘘を暴き、実家という聖域の闇を指し示した。それは、彼が確かにこの世に存在し、そして不条理な「家族という名の暴力」に晒されていたことを、歴史の片隅に刻むためだ。彼を記号にさせないこと。それが、残された表現者の責任だ。

2. 私は、私のカノンを弾き始める

この連載を書き終えることで、私自身の中にある「神のような母」への呪縛、そして「境界線の曖昧さ」とも、一つの決着がついた。他者の異常性を暴くことは、鏡を見ることに似ている。犯人の「退行」と「否認」を解剖しながら、私は自分自身の「自立」を再確認していたのだ。

家族という檻から脱出し、一人の表現者として「不都合な真実」を語る。再生数がゼロであっても、Googleに無視されても構わない。私は、私の意志でこの旋律を書き換える。もう、誰かの顔色を伺って言葉を選ぶ必要はない。

結希さん、安らかに。君の命が残した問いは、霧の中に消え去ることはない。
私が、そしてこの記録を拾い上げた「誰か」が、君の叫びを覚え続けているからだ。

霧は、いつか晴れる。
だが、その後に残るのは「冷酷な真理」だ。それを正視する勇気を持つ者だけが、本当の自由を手にできる。

(完結)

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